電磁波・電磁場・電磁界の公共衛生

フランスの携帯電話用アンテナ基地局周辺の健康被害と状況

主に携帯電話の中継アンテナ基地局周辺での健康衛生問題の社会的な動きの一部を紹介します。
ここでは電磁界の科学的説明、それが原因と見られる症状の説明は省いています。日本語では生活環境研究所などのサイトで詳しく説明されています。

アニー・ロベ氏による中傷を訴えたSFR
被害者を思う気持ち
医師団、科学者による声明、呼びかけなど
電磁界問題に取り組むフランスのアソシエーション
WHOの弱点
読売新聞より





Kobayashi Sigeru
Photo : NEXT-UP









サンポル・ド・レオンの給水塔上の基地局
サンポル・ド・レオンの基地局
サンテ・ピュブリックのHPより転載


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『アニー・ロベ氏による中傷を訴えたSFR』
      *(SFR:仏No.2 携帯電話オペレータ)

「アンテナの下で人が死ぬ」と記述したルポ・ジャーナリストのアニー・ロベさんを告訴し、大変注目を集めているSFR社の訴訟が、2006年9月22日13時30分よりパリの刑事裁判所で開かれる。
この訴訟は、現在、携帯電話が当面する健康被害スキャンダルのシリーズの内の一つである。
被害状況のリストアップはまだ完全ではないが、携帯電話用の基地局アンテナ近くに住む住民をはじめ、企業責任者、多数の認識者らが初めて証人として、アンテナ周辺地帯での複数の死者やがんの発病について証言する 。


イヴリン県(ベルサイユ市)のサンシール・レコール、1992年に屋根に設置されたアンテナの下にある学校に通っていた2人の生徒が、96年、98年に脳腫瘍グリオーマで亡くなった。フランスでの小児症例が年間6人というこの珍しい脳腫瘍グリオーマは、ここサンシール・レコールのアンテナ周辺で、二年間の間に二人の命を奪った。
この町の住民と学校に通う大人子供のうち、65歳以下の14件のなんらかの重症病理について―そのうち2名が死亡している、生徒の父兄が調査を行った。しかし、公式に衛生調査を行った衛生管理インスティチュートは「携帯電話用アンテナ基地局とこれらの病理の関係は裏付けられない」とし、子供二人の死亡は「単なる偶然」であるとした。
これらのアンテナは2003年に撤去されたが、携帯電話オペレータは、ベルサイユ市の国土交通省の県建設局の所有地に新しい二基の基地局を設置する意向だ。そしてこの候補地は、学校から293mしか離れていない。

ブルターニュ地方のサンポル・ド・レオンでは、1993年に給水塔の上に中継アンテナの基地局が設置され、周囲200m内で、この10年で30人が亡くなり、現在17人ががん患者である。 (詳細、参考資料)

ドローム県のクレストでは、携帯電話オペレータ・オランジュにより街の中心の電話中継センターの屋根に基地局が2005年4月12日に設置されたが、以来、周囲300m内で著しく死亡率が高くなっている。(中略)

同じくドローム県のシャブイユでは、2006年5月31日午前10時過、マルク・セイニョボス中学校の760人中50人以上が気絶やめまいに襲われた。救急医の緊急警告で、救急隊や85人の消防隊員が出動したが、この衛生障害の原因は説明されなかった。大気や水の検査、血液、尿の検査結果からなにも解明されなかった。
2006年6月1日の県保健福祉局の公式発表は「最初の4人の分析の結果は、特出するべきものは何もなく、他の患者の臨床結果は、精神的なものに由来していると言えるだろう」とまとめている。

電磁界空間変異(バリエーション)というもの ―
独立機関による調査結果は、この中学校は、対破壊行為策として金網を張り巡らせて、言うなれば”掩壕(えんごう)化”するための工事をしていた。そしてこの中学校がちょうど、一つではなく、二つの基地局の波中継回路の主要磁束になったことを確認した。ちなみにこの基地局アンテナの技術面、健康衛生面の許可は行政機関より告知されていない。
被害者から非特定に試料採取した疫学(伝染病学)予備調査では、被害者らは全員が40万ボルトの高圧送電線または中・低電圧の変電所の近くに住んでいることがわかった。「これらの中学生は、自宅で常に低周波にさらされて知らぬうちに電磁波過敏症になってしまっており、要素と要素が出会い、彼らの中学校が”逆ファラデーのカゴ”と化すその日まで病気は潜状状態だったのだ。」50Hzの低周波と携帯電話のマイクロ波の結合は、電磁界空間変異と呼ばれる新しい現象を生み出している。(中略)

(以下、記事の中で電磁界問題を扱うアソシエーションが紹介されている)
REFLEX : マイクロ波の危険性について研究している協会。

Next-up : 経済利益を延ばす目的の「AFOM:フランス携帯オペレータ団体」という権力組織がある。Next-upは、AFOMや政府が公共健康衛生を犯すことのないよう、一般への携帯電話情報の通俗化の新計画への異議申し立てを提案したり、情報を公開している。

CRIIREM : Commission de Recherche et d’Information Independantes sur les Radiations ElectroMagnetiques 電磁界の放射線に関する独立情報と研究委員会。科学的証明を目的とした研究。

 *( )内、訳者加筆。
<フランス語> Hactivist News Service




サンシール・レコールの中学校のアンテナは撤去されたが、2007年には新しく2塔の基地局が設置された。
St-Cyr-l'Ecole Antenne Relais
(アニー・ロベさんのビデオより)



『被害者を思う気持ち』

2006年12月11日、ロベさんを中傷で訴えたSFRの訴訟の判決で、ロベさんは、SFRに500ユーロ(約77500円)の損害賠償を支払うかたちになりました。
揺るがない科学的証拠で因果関係が証明できない場合「アンテナの下で人が死ぬ」という表現が主観的な中傷と考えられること。
しかしながら、ロベさんの記事内容や表現が思慮分別に欠いていないこと、中傷の対象企業名が特定されていないこと、予防処置を原則に置くという概念に基づく公共衛生の将来に特権を与える考慮、関係者や被害者の証言や資料のインターネットなどを通した情報提供が社会へ多大な貢献をしていること、新技術が目まぐるしい勢いで開発され、万が一の危険性の有無を分析する困難さ―大多数の人々がその分析結果に頼り、その分析は経済利益競争に巻き込まれている―その困難なことに誰もが直面していること、などが判決内容でした。

この訴訟で提出されたツミルー氏のレポートは、2001年以来正式資料として、多数の判事がアンテナによる数々の被害者を却下する指針としてきましたが、今回の判決によりこのレポートが無効になったといえます。
初めて携帯電話オペレータが実質訴訟に敗れたという判例を作りました。
<フランス語> サンテ・ピュブリック SANTE PUPLIQUE




携帯電話の基地局アンテナ:
基地局アンテナの型とその機能の説明。
周波回路の主要磁束方向の電磁界では、健康被害が重要になる。自分の建物の屋上に設置したアンテナが周囲住民の健康を冒すことになる。写真参照。

<フランス語 NEXT-UP>



パラボラ型のレピータ、中継基地局アンテナ:
機能や出力、皮膚疾患の写真と説明など。


<フランス語 NEXT-UP>


アレルギー多発「これでも精神性の原因といえるのか」



「フリブールの呼びかけ」

<フランス語 pdf資料>
 <独語、英語、イタリア語>



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「携帯電話に対する予防原則の緊急適用を証明する科学的論証」(2006)の中で、ロジェ・サンティニ科学博士(米国 Bioelectromagnetics Society名誉会員)は、基地局周辺住民に言及しています: 2001年に530人のアンテナ周辺住民に関する調査をプレス・メディカルというフランスの科学誌にサンティニ博士が発表しました。アンテナから300m以上離れている住民に比べて、周辺住民の訴えや苦情の頻度がはっきり多いのが見て取れました。100m以内ではイライラ、うつ傾向、健忘症状、集中困難、めまい、200m以内では頭痛、不眠、不安、皮膚障害で、300m以内では、疲れ、でした。60歳以上の女性が過敏症になる傾向もみられました。

2003年には、スペインのNavarro氏グループ、2006年にオーストリアのHutter氏グループがアンテナ周辺住民調査で同様の結果を出した。

2003年9月、オランダ政府公式発表によると、アンテナ基地局
(GSM 900 MHz ミ UMTS 2100 MHz)型の低周波に0.7Volts/1mの曝露たった45分で、記憶、視覚集中に障害と不快感をもたらした。(ボランティア)被験者の「電気過敏」の質違いで、結果に差異が生じたり、全く症状の出ない者もいた。

アンテナ基地局とがん発生のリスク:
最近の複数の観察結果から、アンテナ基地局からの曝露と周辺住民のがん発生数増加は関係があるとみる。

保健管理局は、フランスのサンシール・レコールで2004年10月に行った調査で、「この地区での小児がんの数は思っていた2倍以上多い」「公害基準率よりも神経膠腫の発生率がかなり高い」としながらも、サンシール・レコールのがん患者が増加しているという懸念すべき結果となったが、管理局は「偶然」という結論を下した。

イスラエルのウスフィエのラジオアンテナ基地局周辺では、最大10Volts/mの無線周波の曝露によるがん発生率が9.3倍であるという調査結果が出た。
(A cancer cluster in Usfie (Israヤl). Preliminary notice. Janvier 2005)

ドイツにあるナイラの町民900人のうち、アンテナ基地局400m区域の302人に関して、医師団が調査をし、区域外住民よりも周辺住民には2倍のがん発生危険率があるとした。

2004年に発表されたヲルフ博士による Increased incidence of cancer near a cell-phone transmitter station. Int. J. Cancer. Prevention. 2004. 1 では、イスラエルのネタニヤでは携帯電話用アンテナ基地局350m区域の住民は4.15倍のがん発生リスクが増加傾向にある、としている。
(フランス語 "ARGUMENTS SCIENTIFIQUES JUSTIFIANT L'APPLICATION IMMEDIATE DU PRINCIPE DE PRECAUTION A L'ENCONTRE DE LA TELEPHONIE MOBILE" www.next-up.org

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「コロン上院議員、ヴィクトル・ユゴー小学校のアンテナ基地局撤去を発表」

2008年2月1日、lyoncapitale.fr(ローン・アルプ地方の総合誌電子新聞)によると、小学校父兄と教師の請願により、リヨン1区区長や議員や助役などが関係者会議で、学校に設置されたアンテナ基地局を撤去することを約束した。 2年間の闘いは、一人の生徒の白血病を機に、同じクラスの他生徒が同じく白血病を発病した事に始まるが、この撤去決定は(票かせぎの)市会議員選挙を待たなければ下されなかった。 区長は、他の学校に設置してあるアンテナ基地局を、学校時間だけ機能停止にすることと、電磁界問題と携帯電話に関する憲章改正を検討することを誓った。
コロン上院議員がこれらを文書化するまで、父兄と教師側はいつでもストライキをする姿勢を緩めることはない。

記事:Laurent Burlet ローラン・ビュルレ(意訳:吉川)
<フランス語 www.lyoncapitale.fr>



登校するヴィクトル・ユゴー学校の生徒たちと送り迎えする父兄。「学校の上にアンテナ基地局反対」の布看板。ビデオより。


 医師団、科学者による声明、呼びかけなど

「アルカラの声明」 DECLARATION D'ALCALA
スペインの科学者たちが、携帯電話基地局に規制をかけ予防処置をとるよう、電磁が健康に及ぼす危険性をスペイン政府へ訴えたもの。
スペインのバダロナでは、ヴォーダフォンのアンテナ5〜30m周辺に住む住民41名のうち9人ががんに冒されていることから、2002年にアンテナが撤去されました。
2002年、アンテナの電磁場にさらされたヴァラドリードの中学校では白血病とリンパ腺がんが3症例あることが疫病調査によってわかり、マラガでは9症例、マドリードでは14、ロンダで15、パトライスで15、エッチェで14、サバデルで6症例が、それぞれアンテナ基地局の周辺であることがわかりました。

「フリブールの呼びかけ」APPEL DE FREIBOURG/FRIBOURG
1970年代の原発反対運動を機に先進的な環境政策に取り組むドイツ西南部の都市フライブルクで、2002年10月、主に環境医学博士・医師ら150名が、携帯電話とコードレス機器の電磁波が身体に及ぼす影響に関する呼びかけを行い、ドイツをはじめヨーロッパの1200名以上の医師が署名をしました。
<フランス語 pdf資料 独語、英語、イタリア語>

「バンベルクの呼びかけ」APPEL DE BAMBERG
2004年に再びフライブルク同様の呼びかけがなされ、2005年には携帯電話による健康問題についての科学的な講義がありました。

「アイルランド環境医師協会」IRISH DOCTORS ENVIRONMENTAL ASSOCIATION
2004年に携帯電話による磁場熱と非磁場熱問題に関する法律改正を早急に検討するよう要請しました。
<英語> www.ideaireland.org

「ブリュッセルの呼びかけ」APPEL DE BRUXELLES
2007年にベルギーの首都ブリュッセルでも、公共衛生と健康を冒す「電磁界公害」に関する質問状を健康省と議会に提出しました。
携帯電話や中継アンテナ基地局の及ぼす健康被害を訴えています。
<フランス語 pdf資料><英・独・スペイン・蘭語>

ブリュッセルのTESLABEL協会:電磁界問題
<フランス語> www.teslabel.be

「ベネヴェントの決議」RESOLUTION DE BENEVENTO
2006年2月、イタリアのベネヴェントで行われた電磁界における安全対策国際委員会。2002年の「カタニア決議」をさらに進展させた会議。
<フランス語 ROBIN DES TOITS>

「ザルツブルクの決議」 SALZBURG RESOLUTION on Mobile Telecommunication Base Stations
2000年、世界各国の医師や医学博士が集まり携帯電話中継アンテナ基地局の危険性について討論された会議。
<英語 ROBIN DES TOITS>

「なぜ携帯電話のアンテナ基地局の設置を懸念することが正当なのか」
パリのジョルジュ・ポンピドゥ欧州病院がん専門 ベルポム教授
<フランス語 ROBIN DES TOITS pdf資料>
「アンテナ被害や様々なリスク、経済的なリスクも含めて考慮すれば、オペレータより定期的に払われる賃料はまったく取るに値しないものです。アンテナ基地局の設置は住民と建物共有者のために禁止すべきものだからです。」と、教授はレポートの最後を括っています。

※ 訳者注:健康被害への懸念はもちろんのことですが、被害の「噂」や不安、景観が美しくないことも含めて、フランスでは高圧送電線やアンテナ基地局近くの不動産や土地の評価が下がり売却しにくい現象が起きてきているようです。実質の被害や不安から、引越しをしたくても不動産価値が下がり買い手が見つからず、二重の被害に悩む人が増えています。
ベルポム教授のいうところの「経済的なリスク」とは、仕事ができなくなったりする損失や医療費の負担もそうですが、資産価値が下がることも関係していると思います。




 電磁界問題に取り組む他の主なアソシエーション(協会)
アソシテーション(協会)は被害地区ごとにあるといっても過言ではないくらいありますが、総合的に情報を集結し発信する活動をしている主な3つを紹介します。

Roger SANTINI NEXT-UP
故ロジェ・サンティニ博士が設立した、企業や政府機関から独立した立場で、学術的科学的病理学的根拠にもとづき研究、発表、訴訟などの情報提供などを活発に行っているフランスの電磁波・電磁界問題を扱う協会です。被害住民、博士、医療関係者、弁護士、ジャーナリストなどで構成されており、電波・電磁界のもたらす健康問題を声高に提示しています。
<フランス語 www.next-up.org>


Robin des Toits ROBIN DES TOITS
(ロバン・デ・トワ 屋根のロビンフッド)
2004年から、コードレス(携帯)通信の新技術にさらされている安全衛生のために闘っている個人や団体のコンタクトやアシストをする目的で作られた協会です。
HPには、プレス記事、TVニュース、ビデオ動画など、最新情報や状況がわかりやすく網羅されています。
<フランス語> www.robindestoits.org


priartem P.R.I.A.R.Te.M.
フランス国内の携帯電話用中継アンテナ基地局の濫立を規制する目的で2000年に設立された、パリ10区に本部を置く協会です。
フランスやヨーロッパの規制条約、法律の提案、国会レポート、基準値や処置などの研究と発表を行っています。国内の地方法令や訴訟の情報も随時見ることができます。
<フランス語> www.priartem.com

各地の電磁界が原因と思われる健康被害状況と苦情や訴訟のフランス地図
赤ポイントをクリックすると下のページに

1―場所(県名、県番号)
2―設備(アンテナ、塔)のタイプ
3―オペレータ企業名
4―設置日、状況
5―設置地の条件や所有者名
6―隣接住居と(基地局)の距離
7―許可主
8―住民への影響
9―住民訴訟や苦情や訴え
10―訴訟経過
11ーアンテナの写真 photo1 photo2...

<フランス語>




 WHOの弱点

WHOのジュネーブ本部に事務局のある国際電磁界プロジェクトの2000年の「携帯電話とその基地局(No. 193改訂版)」では、科学者たちは、脳の活動や反応時間、睡眠パターンの変化を含めた携帯電話の使用による他の影響も報告してきましたが、これらの影響は小さく、健康への明らかな重大性はありません。

などとありますが、以下の指摘はWHOの弱点を踏まえた適切な批判に思えます。
2008年1月30日付 ジョーナル・ド・ラビタシオン紙「WHOは電磁気の影響を検討している」より:
WHOが電磁界からの影響可能な健康被害として、流産やガン(乳がん(ブラジャーのワイヤーが受信アンテナとして機能することなど)やアイツハイマー病を含む様々な症状を関連づけて研究をすすめることを示した。この5月には、英国の権威ある医療誌「The Lancet」が、WHOは公共の健康保護を重要課題とすると打ち出しながら、科学的証明を切り離そうとしているとして訴えた。ニューヨーク、アルバニー大学のカーペンター教授は、「電力会社、電気通信企業の力はあまりにも大きく、科学の中まで入り込んでいるのです。彼らは、電磁場問題に関する政府側のスポークスマンにさえなっているのです。この分野には利害対立があるからです。」
WHOの電磁界問題対策計画の元チーフだったマイク・レパチョッリ氏は複数企業のコンサルタントだったこと、そして退職後も再び企業コンサルタントになったことに大変な批判を受けた。
「WHOは電磁界の及ぼすインパクトを甘く見ている。3人の小児がん患者のうち1人はこの公害によってもたらされている」とカーペンター教授は言う。「WHOは高圧送電線の電磁界しか考慮に入れていないが、電化製品やコードレス機器やアンテナが出す周波、そして職場や学校という非居住の場所にある様々な電磁界を見過ごしている。」
<フランス語 NEXT-UP pdf資料>



 読売新聞

2006年1月12日付けの読売新聞掲載『健康被害予防、電磁波対策でWHOが初の国際基準案』記事引用

(引用始め) 電磁波に関する初の本格的国際基準で、WHO本部は「今秋にも公表し、加盟各国に勧告する」としている。日本政府は電磁波について「健康被害との因果関係が認められない」としているが、基準公表を受け、関係各省で対応を協議する。

 原案は、電磁波による健康被害の有無は「現時点では断言できない」としながらも、発がん性について「(30センチ離れたテレビから受ける最大電磁波の5分の1程度にあたる)0.3〜0.4μT(マイクロ・テスラ)以上の電磁波に常時さらされ続ける環境にいると、小児白血病の発症率が2倍になる」とする米国や日本などの研究者の調査結果を引用。科学的証明を待たず被害防止策を進める「予防原則」の考え方に立ち、対策先行への転換を促す。(中略)

 90年代以降、欧米の疫学調査で「送電線付近の住民に小児白血病が増える」などの報告が相次いだことから、WHOは96年、「国際電磁界プロジェクト」をスタート。日本を含む約60か国の研究者らが影響を調査している。

 電磁波 電気が流れる場所やその周りから発生する電気と磁気の波のこと。93年の通産省(当時)の報告書によると、家電製品から出る超低周波の電磁波はドライヤー2.5〜53μT、テレビ0.1〜2μTなど。送電線の下は20μT。WHOの下部組織「国際がん研究機関」は01年、超低周波の磁場(磁気のある場)について「発がん性があるかもしれない」とした。
[解説]電磁波の予防原則 明確に…WHO「疑わしきは回避」

 電磁波に関する環境保健基準原案で世界保健機関(WHO)が明確に打ち出したのは、「疑わしきは回避せよ」という「予防原則」のメッセージだ。
(中略)最新の科学情報に基づく電磁波の特徴や影響を正しくとらえている人は意外と少ないのではないか。
 電化製品に囲まれ、様々な電磁波を浴びながら暮らしていることを考えると、WHOが指摘するように、政府には、最新の研究で得た知見や防護方法について、情報提供する責任がある。環境ホルモンやダイオキシン問題などを機に、欧州では予防原則は環境施策の主流になりつつあるが、政府・産業界と国民との間の正確な情報の共有がそれを支えている。WHOの予防原則を踏まえ、政府は国民が納得できる情報の提供に努めるべきだ。(地方部 高倉正樹)(引用終り)
〈読売HPより〉


   茨城・福島の放射能汚染測定調査 <日本語>
   フランスでのチェルノブイリ原発事故の影響 <日本語>
   『幻のダムものがたり』緒川ダム反対住民運動 インタビュー <日本語>

   “日本の非暴力の政治的市民運動と自由”、"八ツ場ダム反対"、“平成の大合併”に関するインタビューなど、フランス語のページ。

    [ 6 ]    "Ce que chacun peut réellement faire ou être", ou évaluer la justice dans un contexte de décroissance, "YAMBA, le plus lourd fardeau des contribuables de l'histoire des barrages du Japon"
    [ 1 ]    Japon : Reforme, Grande Fusion de Heisei, Dissolution
    [ 2 ]    LIBERTES et ACTIONS CIVILES ET POLITIQUES NON VIOLENTES AU JAPON, Tableau national et Carte Regionale d'Ibaraki de la Grande Fusion de Heisei
    [ 3 ]    "DES BRIOCHES, DES EAUX ET DES CHOUX", Kusatsu et Tsumagoi
    [ 4 ]    "La Grande Fusion de Heisei s'oppose au futur du Japon !",  Hiroshi Itoh, maire de la ville de Kutchan, Hokkaido



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